2025年春闘回答
賃上げ率5%台限定的、格差は拡大
全労働者の実質賃上げ妨げるJG制度
報道は「賃上げ額過去最大」だが
ソニーグループ㈱が春闘回答を行った3月19日、「ソニーG、実賃月2万2200円賃上げ(5・2%) 主任級標準モデル」などネットニュースが流れました。大幅賃上げを連想させますが実態はどうでしょうか。
レンジ引上げ、評価3以上は加算増額
評価による賃下げ押し付け変わらず
基本給は評価3以上の特別加算が昨年比1.5倍増ですが、それ以外は昨年同じ、評価2以下や上限超過での賃下げは変わりません(下図)。
一時金はSGCが業績連動型、SECはミッドポイント比年6.4カ月で昨年同月、SSSは0.1カ月増の6.5カ月に特別一時金0.1カ月でした(下図)。
物価上昇を上回ることができるのか
実質賃金は今年に入りマイナスが続き、消費者物価指数は4%台で推移しています。報道の標準モデル(ミッドポイントの評価3)はI4とI3は賃上げ率5%台ですが、冬期一時金を月額に回しても年収は物価上昇に追い付きません。その他の等級は月額も追い付きません。(下図)
再雇用3%相当一時金特別加算
再雇用は賃上げを拒否し、3年連続で夏期一時金特別加算72000円(シニアスタッフの基本給1年分の3%)にとどまりました。
住宅・家族手当の拒否は世界に逆行
切実な住宅補助・扶養家族手当も「属人的要素は適切ではない」と拒否し続けています。日本も批准するILO同一価値労働同一賃金条約は、勤続年数や家族など生計費を基準とする手当は認めており、ジョブ型の欧州でもこうした手当を職務給に加味しています。
会社は「子どもを持つのは個人の自由」と述べます。確かに結婚や出産は自由ですが、少子化が社会問題化する日本、これさえも個人の自由の結果とでも言うのでしょうか。そして2つの手当の拒否は、賃金の生計費原則だけでなく、自ら掲げるSDGsなど持続可能な社会への貢献にさえも反するのではないでしょうか。
全労働者の暮らしを改善する制度を
不透明で恣意的と批判が多い評価や等級付与によって、支出が増える中高年層の賃金が抑制されています。、黒字リストラが常態化し、年金不安も重なり、若い世代も将来展望が見いだせません。
こうした弊害をもたらすジョブグレード制度は撤回し、誰もが人間らしく暮らし、安心して働き続けることができる制度に転換すべきです。皆さん、ご一緒に声を上げて行きましょう。
ソニー労働組合にはソニーグループ国内各会社、デクセリアルズで働く労働者(正社員、再雇用・有期社員、統括を除く管理職の方)も加入できます。
是非、ご意見・ご要望・ご相談をお寄せください。 E-mail:soudan-sendai@sonyunioninfo.com (随時) https://blog.goo.ne.jp/sonyrouso-sendai
以下は仙台支部ビラです。(多賀城事業所門前配布用)
せんだいNo.67-02
2025年6月5日(木)電機連合 ソニー労働組合仙台支部 TEL364-4209
FAX050-3807-8999
2025年春闘 SSMCが賃上げ・一時金回答
物価上昇を上回る賃上げなのか
生計費否定のJG制度は撤回を
物価高騰に賃上げが追い付かず経済低迷が長期化する中、25年春闘は物価上昇を上回る賃上げを実現し、個人消費の拡大、内需主導の経済再生につなげることが社会的にも求められています。私たちソニー労組は、SSMM、デクセリアルズに対しもアンケートに基づく全労働者の5万4千円の賃上げ、一時金年8.8カ月(基本給比)、グループ最低賃金による格差是正、住宅・扶養家族手当の復活、雇用の安定など統一要求を行いました。
基本給レンジ引上げ、特別加算増額でも、リビングウェイジに矛盾
SSMC(旧SSMM)は5月20日の団交までに、基本給改定と一時金を回答してきました。賃上げ要求に対しては、I5Aを除く基本給レンジの引上げ(表1)と評価に依らない特別加算の増額(表2)としました。当労組の試算では、標準モデル(改定前ミッドポイント・評価3)は賃上げ率が4%前後(表3)ですが、ゾーン3以上は通常改定がなく賃上げ率は3%を下回ります。会社は「物価上昇は認識している」「社員の生活を考慮した」などと述べましたが、実質賃金のマイナスが続き消費者物価指数が4%台で推移する中、物価上昇を上回るのは限定的と言えます。
評価による賃下げなど、労働条件の不利益変更に変わりはありません。
国際労働機関(ILO)は、労働者とその家族が人間らしい生活ができる「生活賃金」(リビングウェイジ)の実現を各国に求めています。支出が増える中高年でもI2等級では、上限が引き上げられても手取りは20万円に届かない可能性があり「生活賃金」の実現は困難です。
「ジョブグレード制度」は等級と評価で賃金が大きく左右され、役割に応じた等級付与、評価による賃下げなど、生計費原則を欠く本質的な欠陥があり、人権と尊厳を重視するビジネスと人権にも逆行するものといえます。
リストラ・人員削減優先から転換を
一時金は月数で昨年比0.61カ月増の年6.63カ月(夏4.63カ月)の回答で(表4)、営業赤字を計上したが「構造改革」発表後に修正した事業計画(赤字)比では増収増益などと説明しました。昨年通知の「SSMSとSSMMの約670人のうち約250人削減」は「ほぼ計画通り」、ソニー仙台FCや総務でも相当数の削減とのこと。結局、リストラ・人員削減効果による増益ではないでしょうか。
事業縮小の連続では将来展望が見えず、不安が広がるばかりです。持続可能な成長のためには、生産とあわせて将来の事業の種を蒔き育てることが不可欠です。ソニー労組は、塗布技術を応用したペロブスカイト発電フィルム、バッテリー製造で培った蓄電池との組み合わせなど新技術の研究開発を提案しています。遣りがいを持って楽しく働けるよう、ご一緒に声を上げて行きましょう。
ソニー労組には、SSMC、SPPS、NSF-Eなどソニー国内関連会社、デクセリアルズで働く労働者(正社員、再雇用・有期社員、統括を除く管理職の方)も加入できます。是非、ご意見・ご要望・ご相談をお寄せください。E-mail:sendai@sonyunioninfo.com (随時)